熱処理後の鍛造における歪みの原因

焼鈍、焼ならし、焼入れ、焼戻し、表面改質の熱処理を行った後、鍛造により熱処理歪みが生じる場合があります。

歪みの根本的な原因は、熱処理時の鍛造品の内部応力であり、つまり、内部と外部の温度差や組織変態の違いにより、熱処理後の鍛造品の内部応力が残留することになります。

この応力が熱処理中のある瞬間に鋼の降伏点を超えると、鍛造品の歪みが発生します。

熱処理の過程で生じる内部応力には、熱応力と相変化応力が含まれます。

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1. 熱応力
鍛造品を加熱・冷却すると、熱膨張と冷収縮という現象が起こります。鍛造品の表面と中心部の加熱・冷却速度が異なるため温度差が生じ、体積の膨張・収縮も表面と中心部で異なります。温度差による体積変化の違いによって生じる内部応力を熱応力と呼びます。
熱処理の過程において、鍛造品の熱応力は主に、鍛造品が加熱される際に、表面温度が中心部より速く上昇し、表面温度が高く膨張し、中心部温度が低く膨張しないという形で現れます。このとき、表面には圧縮応力が生じ、中心部には引張応力が生じます。
透熱加熱後、中心部の温度が上昇し、鍛造品は膨張します。この時点で、鍛造品は体積膨張を示します。
ワークピースの冷却では、表面が中心部より速く冷却され、表面が収縮します。中心部は高温のため収縮を防ぎ、表面には引張応力がかかり、中心部は圧縮応力を生じます。一定の温度まで冷却されると、表面は冷却されて収縮しなくなり、中心部の冷却が続くため収縮が生じます。表面には圧縮応力が生じますが、中心部には引張応力が生じます。冷却終了時の応力は鍛造品内にまだ存在し、残留応力と呼ばれます。

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2. 相変化応力

熱処理の過程では、異なる構造の質量と体積が異なるため、鍛造品の質量と体積も変化する必要があります。
鍛造品の表面と中心部の温度差により、表面と中心部の組織変化がタイムリーに行われず、内部と外部の質量と体積の変化が異なる場合に内部応力が発生します。
このような組織変化の違いによって生じる内部応力を相変化応力といいます。

鋼の基本組織の質量は、オーステナイト、パーライト、ソステナイト、トルースタイト、ハイポベイナイト、焼戻しマルテンサイト、マルテンサイトの順に増加します。
例えば、鍛造品を焼入れし急冷すると、表層はオーステナイトからマルテンサイトへと変態し体積が膨張しますが、中心部は依然としてオーステナイト状態にあるため、表層の膨張は抑制されます。その結果、鍛造品の中心部には引張応力が、表層には圧縮応力が発生します。
冷え続けると表面温度が下がり膨張しなくなりますが、心臓部の体積はマルテンサイトに変化しながら膨張し続けるため、表面に阻まれ、心臓部には圧縮応力がかかり、表面には引張応力がかかります。
結び目を冷却した後、この応力は鍛造品の内部に残り、残留応力になります。

したがって、焼入れおよび冷却プロセス中、熱応力と相変化応力は反対になり、鍛造で残留する 2 つの応力も反対になります。
熱応力と相変化応力の複合応力を焼入れ内部応力と呼びます。
鍛造時の残留内部応力が鋼の降伏点を超えると、ワークピースに塑性変形が生じ、鍛造歪みが生じます。

(うち鍛造品168個)


投稿日時: 2020年5月29日

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